床の間は、座敷の一角を一段高くしつらえた、家のなかでもっとも格の高い場所です。掛け軸を掛け、季節の花や道具を置き、客人を迎えるときにはここが部屋の顔になります。飾るものに決まりはなく、季節や行事、お迎えする相手に合わせて、その家の主人が選び替えていきます。

社屋である椛島家住宅の床の間に、この日は書の掛け軸を掛け、かたわらに行灯をひとつ置きました。昼間は庭からの光が畳を渡って軸の文字を照らし、日が落ちると行灯の明かりだけが、ほんのりと床を浮かび上がらせます。同じしつらえでも、時刻によってまったく違う表情を見せてくれるのが床の間の面白さです。
飾りを替えるたびに、床の間の前に座って、しばらく眺める時間を取るようにしています。何を掛け、何を置き、そして何を置かないか。余白の取り方にその家の暮らしぶりが表れると言われるのが床の間です。ご来訪の際には、その日のしつらえにも、ぜひ目を留めてみてください。
